2018年12月

お礼状を書かなければ

フィリッポ 濱田了神父

夢を見ました。夢の中に天使が現れ、雲の上の世界を案内してくれました。そこは天使たちの仕事場でした。いくつかの建物があり、手前のものには屋上に「耳」の形をしたアンテナが立っていました。中に入ると小さな天使たちが忙しそうに動き回っています。一方の片隅にはレシーバーを耳にあてた天使が、聞き取った内容をメモ書きにして他の天使たちに順に渡しています。「何をしているのですか?」と尋ねると、案内役の天使は「願いごとを受信しているのです」と答えました。「願いごと?」、「そう、世界中の子どもたちの願いごとを聞き取って、それをサンタクロース役の天使に伝えるのです。」わたしは驚きました。サンタさんへのお願いは、まず天使たちが聞き取って、「神さま印」の倉庫から出してきて、その「お恵み」をプレゼントに包装するのだそうです。それをクリスマスの晩にサンタ役の大勢の天使たちが一斉に全世界の子どもたちに配るのだとか。でも、クリスマスとは関係なしにも「お恵み」を届けることもあるそうです。そんなときは、トナカイもソリも使わずに、天使がソーッと届けるのだとか。さて、もう一方の片隅には、また別の天使がレシーバーを耳にあてて聴いています。どうやら、プレゼントを受け取ったときの反応を聴いているようです。「うれしい!」「ワーイ!」という喜びの声に混じって、「ア~ア」というがっかりの声もあります。どうやら「お恵み」を間違えたようです。すると長老の天使が杖をつきながら出て来て、「また間違えたのか」と叱りながら、大急ぎで本来の「お恵み」を届けるように指示していました。

その建物を出て、もう少し先に行くと、また別の建物があり、やはり屋上には「耳」の形をしたアンテナがありました。けれども、天使はとてもヒマそうにしていて、レシーバーを机に置いたまま、足をぶらんぶらんさせていました。「彼は何をしているのですか?」と案内役の天使に聞くと、彼は恥ずかしそうに、「神さまへの感謝のことばを受け付ける係です」と答えました。最近の子どもはプレゼントの「お恵み」がすべて、両親やどこかの親戚からのものだと思っていて、少しも神さまに感謝しないのだとか。「仕方ないですね。食事のときなど口先では感謝していても、心の中では神さまのことを考えていないのですから。それにあまり『お恵み』をもらったという実感もないでしょうし。」と答えると、案内役の天使は顔を真っ赤にして怒り出しました。「君は物でもらわなければ、『お恵み』だとは思えないのかい!君がもらっている健康だって、家族だって、きれいな水や空気だって、みんな『お恵み』じゃないか!世界中で、毎日どれだけの子どもが十分に食事をもらえなかったり、お父さんやお兄さんを戦争で失ったり、爆撃で家が壊されて寝るところもなかったりしているのを知らないのかい?君があたりまえだと思っていることのすべてが、神さまからの贈り物なんだ!」

天使の怒った声で、目が覚めました。早速、神さまに御礼を言わなければ。この身体、環境、仕事、仲間たち、そして神さまを気づかせてくれたこの信仰と教会についても。

教会報 2018年12月号 巻頭言

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